The Lotus Eaters

記事はすべて私個人の見解であり、いかなる企業、団体、コミュニティの立場、戦略、意見を代表するものではありません。

V10ロケットはどこに落ちるのか

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 今回の記事は、トマス・ピンチョン重力の虹」を参照しながら「V2ロケットはどこに落ちたのか」を接点として書こうしてたのですが書けるわけなかったので、ふつうに書くことにしました。下記の話を聞いてからすでに2ヶ月以上が経過したので、むしろちょうど良いかもしれません。
 
 7月になりますが、「Notes/DominoからMicrosoft Office 365への移行について」の話を聞く機会がありました。それはNotes/Domino(以下N/D)からMicrosoft Office 365(以下O365)への移行ソリューションを提供されているベンダーによるものでしたが、ひとつ言っておきたいのはそのベンダーは移行は勧めていませんし薦めてもいません。お客様が「N/DからO365への移行を決めた、でもどうすればいいの?」という時にこういうやり方でご支援します、という話でした。
 
 O365に移行を決めたユーザ企業に「なぜN/DからO365へ移行することになったんですか?その理由は?」と聞くと、ありがちなのが「上が決めたから」「グローバルで決定したから」。つまり「N/DとO365を様々な観点から比較し、O365のここがこれこれこういう理由でこう優れており、よって移行するのである」という言葉はほぼ聞いたことがありません(皆無ではない。あったのは「認証」と「ディレクトリ」)。しかし、ではその「上」は、「グローバルの決定権者」は、なぜ移行を決めるに至ったのでしょうか。今のシステムがどう言う業務でどう使われているかを知らないのに?メールの送受信の話じゃあるまいにN/Dで回している業務や運用をO365でやろうとした時にそもそも可能なのかどうか、最大限可能に近づけようとした時にどれほどの時間と費用がかかるか検討していないのに?「働き方改革」かなんか知らんが、ツールを変えることによってそれが実現できたら警察いりませんよね?
 
 などと言うN/D観点での議論はみなさんもう聞き飽きたと思いますので、今回はこのセッションで出た「N/Dをやめる検討を開始した理由」的なキーワードについて、私見を書きます。
 
- N/Dは値段が高い
→ これもよく聞く話ですが、そもそもオンプレミスライセンスとSaaS、すなわち「買い取りライセンス」と「サブスクリプション」を比較している時点でナンセンスです。比較するのであれば、IBMで言えばDual Entitlement (+ DAC) vs O365であるべきであり、この意味が分からないのであればその時点で「比較検討はしないで高いと言っている」ということになります。さらに言えばここで「何のために何をしたいのか」を考えずに「年間サブスクリプションの費用」だけでプロダクトを決定してなんの意味があるのかとも思います。
 
- N/Dのお守りができる人がいなくなった
→ これもありますね。特に中規模〜小規模のお客様でよくお聞きする話です。この観点からはやはりSaaSというものは魅力的です。とは言え「お守りが超簡単」なので売れて来たのもN/Dではあります。
 
- 8.5のサポート切れ
→ 確かにこれは「次、どうするのか」を考えるタイミングです。きょうび何も考えずに「次もN/Dでいくよ!」とはならないでしょう。しかし翻って、ではなぜここで9へ、あるいはV10へ、とならないのでしょうか。「なぜ」と書きましたが、別に疑問に思っているわけでもありません。理由はあとで出てきます。
 
- N/Dでは環境変化についていけない/ちょっと古いシステム/N/Dで働き方改革は厳しい
→えらい言われようですが、これが現実のイメージなのでしょう。でも「ちょっと古い」は甘い、満29歳なのでめちゃくちゃ古いです。でもそれは29年前と同じ生地を使った同じデザインの洋服を着せていれば、という前提での話です。
 
 なぜこのように思われているのか、その理由は何か。「いまのN/Dを知られていない」からです。IBM Championの加藤さんもブログで書いていらしゃいます。
現在、#domino2025 というキャンペーンを展開中ですが、私のお客様ではほとんど認知がありませんし、(後略)

 

 全くその通りで、O365は言うまでもなくTeamsですら多くのみなさんがその存在と何ものかを知っている今、N/D V10の一般的浸透度には目を見張るものがあります。悪い意味で。
 
 とは言え、10/10を中心に世界的に開催されるV10ワールドプレミアも、日本ではNotes/Domino Day Autumnとして東名阪で展開され、ここにきてIBMのさすがのやる気を感じますですね。ていうかこの期を逃すと次いつなんだって話ですね。
 
 
 ところでさきほどの加藤さんブログからの引用の(後略)部分ですが、こう続きます。
説明しても積極的に情報を取りに行くことがあまりないので、
 取ろうよ。
 

誰が Lotus Eaters なのか : IBM Notes/Domino Day 2018 Summer

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2018/7/3に、IBM Notes/Domino Day 2018 Summerに参加すべく品川プリンス クラブexという微妙におしゃれなホールに行ってきました。
 
セッション自体は、情報的には既出のもの以外に特段眼を見張るものはなかったと思いますが、会場の選択や演出、スピーカー/スタッフのみなさんの服装などから、V10での「新し感」を更に目に見える形にされている感触は受け取れました。IBM赤松さん、松浦さん、臼井さんのこの動画もとても良い感じですね。
 
 
さてV10についてはやはりHCL Nomad、すなわち「LotusScriptも含むDominoネイティブアプリがそのままiPadで動く、しかもNRPCで」という、今までのことを思うと魔法のような強烈なソリューションのインパクトが大きいです。名前も新しくて好きです。とは言え「3年早ければ」と思わざるを得ませんが。ID Vaultを使うって言ってましたが、よく考えるとそりゃそうですね。でもiPadでID Vaultってどうやるんだろう、というイメージがまだ湧きません。
 
あとはNode.jsがDomino開発環境に統合される模様。そもそもJavaScriptは、WEBアプリサーバであるDominoの開発環境としてでは大昔から実装済みなので、ある意味通常進化だとは思います。でも「いまからDomino勉強するんですかあ。LotusScriptってなんすかあ」という若い人にも「Node.jsでやってね!(Dominoかどうかは知らなくていい)」と言えるのでしょうか。そういうわけではないのか。
 
このような新機能は別として、去年のV10リリース発表以後「今までなかなか公には出てこなかったNotes/Dominoのロードマップや機能、方向性が、途切れることなく継続して、どんどんがっつりと表に出てくる」という点に於いてIBMのやる気と本気を垣間見ますし、その辺りが見えなくて今後の方向をご心配されていたNotes/Dominoユーザに於かれましては非常に力強い安心材料だと思います。今までのように「ロードマップが見えないから、Notes/Dominoを次のインフラとして選択できない」という理由はもう使えません。これまで「IBMはもうNotes/Dominoの販売をやめる」「開発を止める」という根拠のない風評をよく耳にしていましたが、いまそれを口にすれば単に「発表されていることを知らない」というだけのことです。しかしそれは同時に、発信側にとっては「まだ全然届けられていない」ということでもあります。そもそもNotes/Dominoに興味を持っていない人(一番注意すべき層)にまでいかにリーチするか。とても難しい問題だと思います。
 
Notes/Dominoユーザはいいとして、翻ってMicrosoft製品、あるいはサイボウズ製品、なんでもよいのですがそのあたりの「コラボレーションソフトウェアと呼ばれているものをすでに利用している企業」が、いまここで、それがどれだけ優れていてかつ新しいと言える製品だとしてもNotes/Domino V10を選択してど新規導入するか、と考えた場合、どうでしょう。特にMicrosoft製品の強みはOfficeとADと認証の三位一体であり(他にもたくさんあります)、それを覆すのは並大抵ではありません。
 
一部で話題の色については、個人的には青だろうが黄色だろうがなんでもいいです。なんならワインレッド色くらいにして安全地帯とタイアップして「なにこれIBM新製品出したの? Node.jsの開発環境がくっついてるWEBアプリサーバ? ディレクトリもセキュリティもDBも統合してるの? なにそれすごくない? 今以上これ以上愛されるの?」くらい言わせてほしいです。その色だとTIvoliに間違えられるか(Tivoliとは)。